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このままでは心配

「このままでは、困難に立ち向かわず逃げる人間になってしまうのではないかと心配です。」

複数の方から同様のご相談を戴き、世の中のニーズ(大袈裟)を感じました。
私のメール相談を公開します。(後悔しないよう、一部手を加えています。)
ご本人の了解済みです。
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【ご相談のメール】
私には小学校2年生の娘がいます。
娘にどう声をかけてあげたらいいか分かりません。
昔から勝負弱く、負けたり間違えることが大嫌いな性格です。
負けるなら最初からやらない、できないからやらないといった言動や行動が最近目立ってきました。

「間違えることは悪いことじゃない、間違えたほうがより覚えるんだよ」
「あきらめずに努力し続ければかならずできる!」
「できないのは途中であきらめた人間の言い訳なんだよ」
「間違えても負けてもそれが貴方なんだよ」
「お母さんはそんな貴方も全てだいすきだよ」
と言い続けていますが、どうやら伝わっていないようです。

私の言葉かけは間違っているんでしょうか…
どう言葉をかけてあげたらいいのでしょうか…
このままでは社会に出て挫折しても立ち直れない人間、困難に立ち向かわず逃げる人間になってしまい、自立できない人間になるのではないかと心配でなりません。
なにが解決の糸口なのでしょうか。


【私からの返信1】
メッセージありがとうございます(*^_^*)
お急ぎですか?
そうでなければ夜にゆっくり
早い方が良ければ今さっくり
返信します。

(中略)

【2】
(*^_^*)
子どもに強くあってほしいと願うのは、皆同じですよ。
何のために、お嬢さんに強く立ち向かってほしいと思っているのでしょう。
何のために、言葉を尽くしてそれを伝えているのでしょう。
答えを考えて見てくださいね♡

【3】
改めまして、こんばんは。
質問の答えは出ましたか?
私が言葉を重ねる必要はもうないかもしれないと思いつつ、返信します。

「お子さんの将来のため」というのは、都合のいい言い訳です。
本当は、恐らく、Mさんご自身が安心したいという想いなのではないですか?
もちろん、それは「子どもの幸せが私の安心」に繋がる、=愛であることは疑いの余地はありません。
しかし、子どもの幸せはだれのものでしょう?

子どものものです。

子どもの幸せは誰が創っていくのでしょう? 

子ども自身です。

このままでは挫折して立ち直れない人間になるという根拠はどこにありますか?
逃げる人間になるよう育ててはいらっしゃらないでしょうから、そんな風にはなりません。
でも、そう思って育てたら、そうなります。(ゴーレム効果です。)

私は、実情は何も知りませんが、徹底的に2年生のお嬢さんの味方をします。
Mさん、私にそう言われたら悔しいでしょう?
Mさんこそが、最高の、お嬢さんの味方であるはずです。
お嬢さんが、どんな方法で成長しようとも、それを少し後ろから見守り、伴走するのがお母さんの使命です。

お嬢さんは、絶対大丈夫。
豊かな感性と、柔らかな心と、優しさを持った素晴らしいお子さんです。
Mさんの文章を読んだだけで、わかります。
ご両親が、この子をとても大切に育てて来たのだと推察します。

他を蹴落として、自分だけ上になるのは楽しくない子です。
勝ち負けに面白さを感じない子です。
自分を大切に考えるから、傷つくのを恐れているのです。
お母さんが、大大大失敗して、修復する姿でも見られたら、「私にもできるかも~」って、思うかもしれません。
誰だって、やったことのない失敗や負けなんか、経験したくありません。


「間違えた方が覚える」
という言い方にはちょっと違和感があります。
大人にはわかりきったことですが、
子どもには「覚える」ために間違えと言っているように聞こえる、
つまり、「覚えなさい」と言われているのと同じに聞こえるのではないかと思います。
「できないのは途中で諦めた人間の言い訳」というのも同じで、
途中であきらめるな、言い訳するな、できないことは良くないことという価値観が感じ取れます。

「大丈夫だから、やりたくなったらやってごらん」
「お母さんも、いっぱい失敗したよ」
「お母さん、ちゃんと見てるからね」
「大好きだよ」
「あなたが大事」
ということを伝えましょう。
これ、全部、勇気づけです。

何かをしようと思わせるのが勇気づけではありません。
今の自分の、棒立ちのこのままで、
ああ、これでいいんだ、自分には価値があるんだ、
自分は愛されているんだ、
ということをわかってもらう対応が勇気づけです。

自然と元気になる言葉が勇気づけです。

「元気になりなさい」
と言われても、元気にはなりません。
「立ち向かえ」
と言われても、立ち向かえません。

(中略)
子育てから、私たちは学ぶのです。
不完全なお母さんから、また、子どもも学んでいきます。

『子どもの人生を簡単に決めないこと。』

今日は、この言葉で締めくくりたいと思います。
長文、最後まで読んでくださったMさんの愛情に敬意を表します。

ありがとうございました。  10月27日

   池田彰子


これらのやり取りで、
聡明なMさんはお嬢様を見る目を取り戻し、
笑顔で毎日送り出せているそうです。

朝、笑顔で送り出す以上の母の仕事って、ないと思った私です(*^_^*)



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プロフィール

池田彰子

Author:池田彰子
アドラー心理学、日常、ココロの中などを綴っていこうと思います。